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黒の航路~三つの凶星プロローグ(?)


その夜の酒場は、何時になく寒気がした。


各地から取り寄せた酒精独特の香りを、フードコート入口から漏れる外気が攫っていく。
冷たい、塩を含んだ、風の匂い―――が、頬から撫でるように熱を奪っていくのを感じる。

それに少しばかりの寂しさを感じながら、ポッカウォッカを乾いた喉で一気に味わう。
―――旨い、香料に使われる薬草とキツすぎる位の辛口の酒精が、寒い夜には特に合う。

薬草の効能で身体が瞬く間に上気する一方で、吐き出す吐息は白く凍り付いた。
寒冷期、それも上空を飛行している龍識船では、それも当然といえば当然だろう。


此処、酒場「ホーンズ」は、かつて名うての狩人だった女主人と受付係が経営しているハンターの寄合所でもある。
他の拠点以上にモンスターの情報が集まりやすいという点も大きいが、此処を拠点にしているのは単にこの酒場の飯が旨いからである・・・断じて、女主人に気があるワケではない―――そう、断じてだ!


◇◆◇◆◇◆


普段ならば結構な賑わいを見せている酒場であるが、今宵はその人数も疎らだ。
物々しい様相に身を包んだ狩人も、それに付き従うオトモの姿も数える位しかいない。

こんな日でも此処を訪れるのは、余程の酒好きか・・・寒さを知らないうつけ位のものだろう。
無論、自分は至って前者であるが・・・。


ニイさんニイさん、ちょいっと隣いいかな?


シン―――と、陶器同士で互いを打ち鳴らしたようで、吹雪く風のようにツメタイ、掠れた声

体格には不釣り合いな装いをした、女・・・いや、少女といった方が正しいか?
ガムート装備に身を包んだ小柄なソイツの出で立ちは、まるで子供に仕事着を着させたかのように似合っていない。
厚い毛皮に覆われた装いで身体のラインは分からないが―――おそらくは大したコトもないだろう(笑)


IMG_-5nfg1v.jpg


ちょっとお・・・なんねなんね?そんな鼻で笑うような顔で、人のぼでーを見るだなんてさ!失礼しちゃうよ全く、これだから酔っ払いはキライなんでぃ!・・・笛ちゃんはね?脱いだらスゴイんだからな?ホントだゾ!?・・・とと、まあいいや


言うが早いか、ドカッと隣の席に座る女。
子犬のような人懐っこい表情をしながら、背負った得物を無造作にテーブルに立て掛ける。

笛―――、か・・・。

古来より一部の民族で狩猟における合図として運用されていた笛を、より実践向けに改良されたのが狩猟笛という武器になる。
狩人の補佐役―――御伴者と呼ばれ、狩人と同等の危険に曝されながらも戦力として見られず、より安価な報酬、扱いを受けていた彼ら笛使いが、ハンターとして正式に認定されるようになったのは、まだ日に浅いコトだった。


ニイさんを「名うての狩人」と見込んで、いい話があるんよ♪・・・ちょっとだけ聞いてくれへん―――って、ちょいちょいちょい!そんな何も見なかったかのように席立たんでぇ!?2、3分で話は終わるから!・・・それに、アヤシイ勧誘とかじゃねーですから?イヤ、ホントだって、まじまじ!笛ちゃんウソ・・・ツカナイからさ?


正直、笛使いには縁がないので、噂に聞くロクに働かないで報酬だけをかっさらう「吹き専」なる輩のイメージしかないのだが、話を聞くだけならば問題はないだろう・・・というよりは、下手にコイツに騒がれてこの店に目を付けられるのだけは、何としても避けねばならない。
面白い話ならば上々、下手な話ならば迷惑料として酒代を払わせればいい。


あ、端的に言うとだ―――ニイさん、黒龍伝説ってのを知ってるかい?あの御伽噺によく出てくるミラボレアスさ!
漆黒の甲殻に身を包み、灼熱の炎を吐き出す「避けられぬ死」ってヤツ・・・要はソイツを狩りに行こうって話さね♪



・・・コイツは、頭がイカれてるのか・・・?
御伽噺に出てくる、居るハズもない怪物を倒そうだなんて・・・?ハッ、莫迦莫迦しい!


ふむふむ・・・どうやら信じてないネ?でもさ、ニイさんは見たコトがあるだろう?ポッケ村の奥に眠っているあの巨大な黒い大剣をさ。あれは覇竜アカムトルムの尻尾から作り出したなんて言う奴もいるが・・・とてもじゃないがそんな話はアリエナイよ。何故ならそのアカムトルムとは質が全然違う、そんなので誤魔化せる相手なんてモンスターを知らない村人か、それこそ並のハンター位だろうさ?でも―――ニイさんは、違うでしょう?


人懐っこそうな表情で、女が顔を覗き込む。
幼い、大人では作れないような無邪気さを思わせるその表情の中で―――目だけが、獰猛な獣のように爛々と輝いている。


お膳立ては勿論笛ちゃんがしよう、報酬も当然ニイさんが望むモノを斡旋しよう♪成功すれば力も、名声も、富も思うがままに差し上げよう・・・何だったらそうさね―――想い人に口添えなんてモノでもしてあげようか?


フフーフ♪と、陶器同士で互いを打ち鳴らしたようで、吹雪く風のようにツメタイ、掠れた声で品定めをするように女は鼻を鳴らす。
無邪気に微笑む表情の中で爛々と輝く青い瞳が、コチラの眉がピクリと動いたのを見逃す筈がなかった。


おーけぃ、商談成立だ!後はココに書いた時間通りに来てくれればいい―――楽しく逝こうか「相棒」♪


嵐のような、女だった。
騒がしかった女が先まで座っていた、既に空になった隣の席と、お勘定として置いていった金銭を見ながらそう呟く。


しかし・・・やられた。

あのガキ、自分が呑んだ分だけしか払ってねぇ・・・。


◇◆◇◆◇◆


あれから数日―――。
兵(つわもの)しか入り込めない龍識船の集会場に、ハンターの集まりが見えた。
その中には名うてとして名高いハンターも見て取れる。


よお、アンタも呼ばれたのかい?―――あの狂犬に。


狂犬・・・誰の事を指しているのかは、すぐに推測できた。
人懐っこそうでいながら、コチラの喉笛を噛み千切らんと爛々と青い瞳を輝かせる、小さな守銭奴を思い浮かべる。


ハハ、あれに目を付けられるとはアンタも運がない!何たってあれは・・・おっと、お出ましだぜ?


ハンターの人垣を撒き分けながら、小柄な女が現れた。
小柄な体格にそぐわない、巨獣の厚い毛皮に身を包んだずんぐりむっくり・・・狂犬と呼ばれた、人懐っこそうで獰猛な笛使い。


・・・笛ちゃん的にはもう少し、集まると思ったんだけどなぁ・・・まあしょうがいないか、こんなご時世だ。
とりあえずだ、良く集まってくれたね♪歓迎するよ兵(クルー)達―――黒の航路へようこそ。



陶器同士で互いを打ち鳴らしたようで、吹雪く風のようにツメタイ、掠れた声で女はフフーフ、と歌うように鼻を鳴らす。


これより宴を始めよう♪御伽噺の伝説を肴に、命を賭して踊り明かそう。富も、名声も、力も―――勝てば何だって手に入る、そんな楽しい愉しい宴を始めよう!遠慮なんて要らない、我慢なんてしてやらない・・・さあ、思う存分に食い散らかせ!


喧騒の声が集会酒場に木霊した。


それが、今宵の宴の合図―――宴とは名ばかりの、悪夢のような長い一日の始まりだった・・・。



mrrt0_5.jpg




・・・。


・・・・・・。


前書きのつもりでプロローグ的なナニカを書くつもりだったのに、思いの外長くなってしまいました(´・ω・`)
このままだとバランスが悪くなるので、ココで一旦区切りますw
某モンハンブログの人の大変さが改めて分かりました・・・書けば書く程に収拾がつかなくなるよ!?

(考え無しに好き勝手やるからだよ)



つーか!この笛ちゃん・・・すっげー狂犬で腹黒くなーい!?どういうコトなの中の人!笛ちゃんはもっとこう―――とってもぴゅあなにっこにっこーのハズzy(ダマレ



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コメント

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ハードボイルド

ハードボイルドですねぇ。
それにしても、ハンターのlelaちゃんのキャラクタはこんな感じなのか……ピンチに陥るほど、牙を剥き出しにしたような笑顔を見せてきそう。
絵的には平野耕太とか、藤田和日郎的な……。

それにしても、小説形式は本当に長くなるんですよね。
自分も、構成段階で四回ならば完成品は六回になる、と見積もって書いています。

Re: ハードボイルド

> ロキさん

コメントいただきありがとうございます!
今回冒頭だけ―――というコトで、いつもとは少し違う作風にしてみました♪
本編はさすがにいつものに戻ります。つーか黒龍みたいなラスボス、しかもそれの連続狩猟とか普通にSS書こうとしたらかなりの長編になっても可笑しくないと思うの(´・ω・`)
昔「森丘10番地」っていうモンハンの携帯小説が好きで読んでいましたが、その物語でも黒龍は結構な尺を取って書いていたなぁ。

笛厨のキャラクタはだいたいこんな感じです。ぶっちゃけいつもとあんまり変わらねー。
普段は波長が少しでも合いそうならぐいぐいと迫る反面、噛み合わなさそうな相手には近づこうともしない子犬ちゃん。
ただし狩りの事になると異常に好戦的で傲慢な性格にスイッチする、人間ガルルガみたいな感じ(´・ω・`)
ちなみに身体的特徴として、少しばかり伏線を張ってみたつもりだったり…それを明かすのがいつになるかは何も考えてませんがねw



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